芋焼酎の原料は、さつまいもだということはみなさんご存知かと思いますが、芋焼酎に使われているさつまいもの品種を聞いたことがありますでしょうか?
芋焼酎に良く使われている品種の中でも、鹿児島県で取れる”黄金千貫”というさつまいもが王道です。
今回はそんな黄金千貫について詳しく解説していきます。
この記事の目次
1.黄金千貫(こがねせんがん)ってどんなさつまいも?
芋焼酎の産地でもある鹿児島県で収穫される黄金千貫(こがねせんがん)。他の品種との違いは何でしょうか。まずは黄金千貫の特徴や歴史から紹介します。
1-1.黄金千貫の特徴
黄金千貫は、皮も中身も黄白色のさつまいも品種です。ふかすと甘くて美味しいため青果用としても人気で、デンプン原料用にも多く使われる特徴があります。
焼酎の原料として一番ポピュラーな品種で、鹿児島県の蔵元のレギュラー焼酎は、ほとんどが黄金千貫が使われています。
黄金千貫の名前の由来には諸説がありますが、「黄金色の芋がざくざく穫れる」「黄金を千貫積むほど値打ちがある芋」から付けられたといわれています。
その名前の由来からも「ざくざく穫れる」といわれているように、黄金千貫の収穫量はかなり多いです。それ以外にも従来のさつまいもとの違いは、アルコール発酵に必要なでん粉の含有量が多いことがあり、芋焼酎の原料の定番として急速に普及していきました。
1-2.黄金千貫誕生の歴史
現代の日本で一番収穫されているさつまいも、黄金千貫が誕生したのは、昭和41年(1966年)のことです。
「農研機構」の略称で知られる国立の研究機関、九州沖縄農業研究センター(当時は九州農業試験場)で、当時の所長で無類の酒好きで知られた農学博士・坂井健吉(さかいけんきち)氏によって育成され、「かんしょ農林31号」として品種登録されました。
2.芋焼酎の全国的普及に貢献した黄金千貫の魅力
黄金千貫は、でん粉の歩留まり率(生産割合)が高く効率良くアルコールを造り出せるため、芋焼酎の理想的な原料としてたくさんの酒蔵に重宝されています。
黄金千貫を原料にして造られた芋焼酎は、甘さ控えめな味わいとふくよかな優しい香りが特徴。味、甘さ、香り、全てのバランスが絶妙なため、多くの焼酎ファンの舌を唸らせてきました。
かつての芋焼酎は独特の芋臭さがありクセが強すぎると敬遠されてきましたが、黄金千貫で造られるようになった芋焼酎は、今までとは違う上品な芋の香りと甘さのバランスの良さにより、多くの方から親しまれるようになりました。そんな黄金千貫は、今までの芋焼酎のイメージを変えた革命的な芋であることに間違いありません。
3.黄金千貫の収穫時期と芋焼酎の仕込み時期
黄金千貫は早くて4、5月頃から植え付けが始まり、早くて8月くらいから収穫され12月頃まで続きます。収穫の最盛期は9月から10月にかけてですが、青果用の場合は、その後2ヶ月寝かせて出荷されます。さつまいもを収穫後に寝かせることで、水分が抜け、でんぷんが糖に変わり甘くおいしくなります。黄金千貫は他の芋と比べ、育つスピードが早いことでも知られています。
芋焼酎の仕込み時期は、芋の収穫時期に合わせて開始されます。一般的に芋焼酎の仕込み時期は8月から12月くらいまでと言われ、収穫後すぐに芋焼酎の原料として使用されます。
近年では芋を寝かせて熟成させた後で焼酎の原料としたり、大手の酒造メーカーによっては常に仕込みを行う都合上、冷凍保存された芋を使用したりしますので、全部の焼酎蔵の仕込みが同じというわけではありません。
まとめ
芋焼酎の原料に使われている黄金千貫について紹介しました。
黄金千貫の誕生により従来の芋焼酎の芋臭いというイメージが大きく覆り、多くの人から芋焼酎が受け入れられるきっかけとなりました。今では焼酎初心者や女性の方にも親しまれています。
黄金千貫を原料に造られた芋焼酎をぜひ一度お手にとって楽しんでみてください。