焼酎はウイスキーやブランデーなどと同じ蒸留酒ですが、どういう工程で造られているのかご存知でしょうか?
「よく焼酎を飲んでいるけれど、改めてその作り方を人に説明するとなると、うーんよくわからないなあ」という方も多いかもしれません。
今回は焼酎の製造方法を詳しく説明していきます。
この記事の目次
1.焼酎の仕込み方法は2通り
焼酎の仕込みは2通りあり、一次仕込みと二次仕込みを分けて行う方法と、水と麹と原料を一緒に仕込むドンブリ仕込みと呼ばれる方法があります。
1-1.一次仕込みと二次仕込みを分けるやり方が現在の主流
現在の焼酎造りのやり方は一次仕込みと二次仕込みを分ける方法が、主流となっています。
最初の過程でできあがった麹を、仕込み水と酵母を合わせるのが一次仕込み。この工程で麹の酵素を増やすことで、酵母の働く環境を整えます。
一次仕込みの醪の中に砕いた主原料を投入し、二次仕込みをしていきます。
そしてその後、蒸留、ろ過、貯蔵などの過程を経て、瓶詰めし出荷に至ります。
1-2.かつての仕込みの主流「ドンブリ仕込み」
焼酎を造る際に、原料すべて(麹、主原料、水)を一度に仕込む方法をドンブリ仕込みと言います。
大正時代まで行われていたこの方法は、醪が腐造することが多く、さまざまな試行錯誤を経て、一次仕込みと二次仕込みに分けられた2段回の方法が取られるようになりました。
沖縄の泡盛はドンブリ仕込みですが、全麹仕込みだからこそできる製法です。
2.焼酎(本格焼酎)の蒸留方法は2通り
焼酎(本格焼酎)を造る際に、単式蒸留器で行われる蒸留方法は2通りあります。
一つは常圧蒸留で、もう一つは減圧蒸留です。
2-1.香りや風味が豊かになる常圧蒸留
単式蒸留器で行われる伝統的な蒸留方法、「常圧蒸留」。
通常の気圧のもとでもろみを高い温度で蒸留して沸騰させるため、蒸留された酒は原料の風味がしっかりとそのまま移ります。
芋焼酎や泡盛はこの方法が多いです。
2-2.香りが少なく、雑味のない減圧蒸留
単式蒸留器で行われる近代的な蒸留方法、「減圧蒸留」。
蒸留器の中の圧力をさげることにより沸点を下げ、低沸点の成分のみを焼酎に移すことができ、きれいで飲みやすい味わいとなります。芋焼酎の芋らしい風味や麦焼酎の香ばしい麦の香りなどの原料由来の豊かな風味は、減圧蒸留の焼酎では移りません。
減圧蒸留は麦焼酎や米焼酎で行われていることが多いです。
3.焼酎の製造工程
では焼酎はどうやってできているのでしょうか。
原料処理から製品化されるまでの工程を見ていきましょう。
3-1.原料処理
焼酎の原料は麹と、味の鍵となる主原料(芋、麦、米など)です。その主原料の下準備「原料処理」が最初に行われます。
芋焼酎のサツマイモの場合、収穫後すぐの新鮮な状態で泥を落とし傷がないかチェックし、サイズが小さいものをはぶき大きいものはカットして調整します。キレイになったサツマイモを専用の蒸し器で1時間ほど蒸し、冷ますまでが原料処理です。
他の原料も同様に、洗浄、浸漬、水切り、蒸し、冷却などの工程があります。
3-2.製麹(麹づくり)
米(麦)を蒸して麹を造る「製麹」。
蒸した米に麹菌をまんべんなく振りかけ、それを麹室と呼ばれる部屋の中で2日ほど寝かせることで、アルコール発酵に必要な麹を造ります。ムラができないように手で混ぜ合わせる、根気のいる作業です。
3-3.一次仕込み
麹に水と酵母を加えて発酵させる「一次仕込み」。
甕やタンクに製麹で造った麹と水、酵母を入れて混ぜ合わせ、大量の酵母を培養します。温度を調節しながら約6日で「一次醪」が完成します。この時、度数15度程度のアルコールが生成されます。
3-4.二次仕込み
下準備をした主原料を加えて発酵させる「二次仕込み」。
一次醪に、下準備をした芋や麦、米などの主原料を投入。数日経つと炭酸ガスが発生し、プスプスという音とともにアルコール発酵が進んでいきます。発酵の進み具合によって前後しますが、約10日で原料の成分が溶け、トロリとした「二次醪」が出来上がります。
3-5.蒸留・冷却
二次発酵でできた醪を蒸留させる「蒸留・冷却」。
二次醪ができたらいよいよ蒸留に入ります。本格焼酎の場合、単式蒸留器を使い、1度のみ蒸留することによって純度の高いアルコールを取り出します。
単式蒸留には常圧蒸留と減圧蒸留の2通りのやり方があり、圧力のかけ方の違いによって醪の沸点を調節しています。
3-6.ろ過・貯蔵・熟成
蒸留して取り出した原酒をろ過し、その後貯蔵・熟成させます。
原酒にはフーゼル油と呼ばれる高級アルコールの混合成分が含まれており、旨味成分の元となるのですが、多すぎると油の臭いや雑味の原因にもなってしまいます。そこでろ過してフーゼル油を取り除き、香りや味わいを調整します。
ろ過した後は、一定期間貯蔵・熟成させます。
蒸留したばかりの焼酎は粗い味わいのものが多いため、一般的に2〜3ヶ月程貯蔵し熟成させ、味がまろやかになるのを待ってから出荷します。
芋焼酎だけは出来立てのフレッシュな状態でも楽しむことができます。
3-7.仕上げ・製品化
仕上げに酒質とアルコール度数を調整するため水を加えます。
原酒のままだと40度前後と度数が高めなため、水を加えて20〜25度に調整します。味にばらつきが出ないよう、いくつものタンクや樽で貯蔵された原酒をブレンドする蔵もあります。
そしてできあがった焼酎を瓶詰めし、異物が混入されないよう徹底した衛生管理のもとで最終作業が行われます。
厳しいチェックの後、晴れて製品となります。
まとめ
焼酎の製造過程を説明していきました。焼酎は製造方法により味や風味も異なるお酒です。ぜひ焼酎選びの際に参考にしてみてくださいね。