本格焼酎といえば、芋焼酎、麦焼酎、米焼酎という方が大半かと思います。本格焼酎にはそれ以外の原料で造られたさまざまな焼酎が存在します。
その中でも今回ご紹介するのは黒糖を原料に造られた、黒糖焼酎です。おすすめの黒糖焼酎も紹介しますので、ぜひ試してみてください。
この記事の目次
1.黒糖焼酎とは
黒糖焼酎とはその名の通り、黒糖を原料に造られた焼酎のことです。
鹿児島県の奄美諸島のみで製造が認められており、酒蔵も約30軒と限られています。
黒糖は、サトウキビを煮詰めて不純物を取り出し固めて作られています。そのため、黒糖焼酎というと、甘いイメージを持たれる方も多いですが、実際は甘いわけではなく風味が感じられる程度で、スッキリと爽やかな味わいが特徴です。もちろん焼酎の長所である糖質オフはしっかりとそのままです。
比較的飲みやすいので、焼酎を飲み慣れていないという方にもおすすめです。
2.黒糖焼酎を選ぶ上でのポイント
黒糖焼酎を選ぶ上でのポイントは2つあります。それは、使われている麹と造る際の蒸留方法を選ぶ事です。
順番に紹介するのでぜひ選ぶ際の参考にしてみてください。
2-1.使われている麹
焼酎に使われている麹は米麹の他に「白麹」「黒麹」「黄麹」の3つ。使われている麹によって味わいに違いが生まれます。
白麹
黒麹の突然変異から生まれた麹菌です。胞子が飛び散ることもなく作業性もよいことから、黒麹に代わって一般に広く普及しました。白麹で造られた焼酎は原料の味を素直に引き出し、軽快でマイルド、キレがあり爽やかな焼酎になります。比較的飲みやすいことが特徴。
黒麹
黒麹は泡盛にも使われている麹菌です。明治時代に日本本土にも導入され、もろみを腐らせることなく仕込めるので、黄麹に代わって普及していきました。黒麹が使われている焼酎は芳醇な香りと、麹由来の渋みを含む力強いどっしりとした深いコクと旨味が特徴となります。
黄麹
黒麹が一般的に使われるようになるまでは、日本酒にも使われている黄麹が焼酎でもメインで使われていました。
焼酎造りにおいて、クエン酸を作らないという難点があり、黒麹や白麹の登場によって、使われる機会は非常に減りましたが、近年この黄麹を取り入れる蔵もでてきています。
黄麹で造られた焼酎は日本酒のような吟醸香があり、淡麗で爽快な味わいとなります。
2-2.蒸留方法
蒸留方法によっても味わいに違いは生まれます。「常圧蒸留」と「減圧蒸留」の味わいの違いを見てみましょう。
常圧蒸溜
単式蒸留器で行われる伝統的な蒸留方法。
通常の気圧のもとでもろみを高い温度で蒸留して沸騰させるため、蒸留された酒は原料の風味がそのまま移ることになり、濃厚な味わいになります。それにより黒糖の風味や香りが強く出ることが特徴です。
減圧蒸留
単式蒸留器で行われる近代的な蒸留方法。
蒸留器の中の圧力を下げることによって沸点を下げるのですが、この方法は富士山の頂上でお湯を沸かすと90℃未満で沸騰するのと同じ原理です。低沸点の成分のみを焼酎に移すことができ、とても飲みやすい味わいになります。黒糖らしい風味は、減圧蒸留の焼酎には移らないため、それらの香りが少し苦手という方にとっては、飲みやすい黒糖焼酎が出来上がります。
3.黒糖焼酎のおすすめ12選
3-1.高倉
奄美大島酒造で造られている「高倉」。
100%奄美大島産純黒糖と、奄美で一番美味しいとされる龍郷町の「じょうごの川」から汲み上げた天然の地下水が使われており、地元の素材がしっかりと活かされています。3年以上熟成した原酒を、さらに樫樽で琥珀色に熟成されているのが特徴。
黒糖のまろやかなコクと果実のような甘い香り、ふくよかな味わいは、一度飲むと虜になってしまいます。
こちらは常圧蒸留で造られており、飲み飽きしないガツンとした風味もあります。焼酎通の方におすすめしたい一本です。
(出典元:奄美大島酒造)
3-2.じょうご
高倉に続き、奄美大島酒造で造られた「じょうご」。
仕込みに使う名水の名を冠した減圧蒸留の黒糖焼酎です。
奄美産黒糖由来の南国らしいフルーツの香りとおだやかに香る黒糖の甘い香りのハーモニーが特徴。口当たりがやわらかく、飲み口がさわやかな仕上がりとなっています。
飲みやすいため、ロックや水割りでグビグビと飲めてしまう美味しさです。
(出典元:奄美大島酒造)
3-3.里の曙
町田酒造で造られた黒糖焼酎のイメージを変えたといわれている「里の曙」。
町田酒造は他社に先駆けいち早く減圧蒸留を取り入れて今までにない黒糖焼酎を作り上げました。島ではトップクラスのシェアを誇っており、長年愛され続けています。
芳醇な香りとまろやかな味わいに、さわやかで酔い醒めが良いところが特徴です。減圧蒸留のためクセがなく、飲みやすいことが嬉しいポイントです。
(出典元:さとあけショップオンライン)
3-4.加那
昭和2年に創業された西平酒造が誇る黒糖焼酎「加那」。
こちらは白麹が使用されており、常圧蒸留で造られています。厳選された原料を使用し、1次仕込みは甕で仕込み、2年間以上樫樽で貯蔵熟成されているため、他の黒糖焼酎とはまた違った旨味が特徴です。濃厚で深みのあるコクと香り、まろやかな黒糖の甘みの感じる味わい。
「加那」とは奄美地方の方言で「愛しい人」という意味です。そのため、プレゼントとしても人気のある焼酎です。
(出典元:西平酒造株式会社)
3-5.紅さんご
自然と、奄美と、生きる。をスローガンとして掲げている、奄美大島開運酒造で造られた「紅さんご」。
ホワイトウォーク(樫樽)の木樽を使用しており、色は鮮やかな琥珀色で、黒糖らしい甘みを帯びた樽香があるのが特徴。奄美大島の霊峰「湯湾岳」の伏流水を使用しており、丸やかで柔らかな口あたりです。
黒糖焼酎でありながらラム酒のような味わいもあり、ぜひこの風味を存分に味わっていただくためにも、ロックかストレートがオススメです。
(出典元:奄美大島開運酒造オンラインショップ)
3-6.れんと
先程の「紅さんご」と同じ奄美大島開運酒造で生まれた「れんと」。
れんとを造る過程で、常にゆるやかな振動を与え、分子を小さくすることにより音響振動が熟成を促すことで、飲み口がとてもまろやかになっています。
香りの良い酵母と味の良い酵母から蒸留した焼酎をブレンドすることで、特徴のある香りと味わいを生み出しています。マイルドな口当たりで飲みやすく、親しみやすいスッキリとした味わいは、初心者の方にもおすすめしたい一本です。
(出典元:奄美大島開運酒造オンラインショップ)
3-7.喜界島
黒糖焼酎造りを始めてから100年にもなる喜界島酒造が誇る一本「喜界島」。
上質な黒糖を主原料に珊瑚礁の地下から湧き出る、ミネラル分をたっぷり含んだ天然硬水を仕込み水として使用し、常圧蒸留の方法で取り出した原酒を1年以上貯蔵熟成して造られています。
貯蔵酒が奏でる甘いバニラのような香りとまろやかな口当たりが特徴。前割りをすることでよりまろやかで飲みやすい黒糖焼酎となります。
(出典元:奄美大島開運酒造オンラインショップ)
3-8.まんこい
歴史ある弥生焼酎で造られた「弥生」を樽貯蔵で寝かせた熟成酒「まんこい」。
黒糖の甘い香りの中にもラム酒を感じさせるような香りに、味わいは甘く、最後にはキリッとしめてくれるのが特徴。
銘柄のまんこいとは、招き入れるという意味で、千客万来を表す言葉として使われているそう。その名の通り、焼酎通の方だけでなく若者からも人気があり、レモンサワーにすると日本一おいしいと言われている焼酎です。ロックやソーダ割りも美味しくいただけるので、女性の方にぜひともおすすめしたい一本です。
(出典元:黒糖焼酎なら弥生焼酎醸造所)
3-9.長雲 一番橋
機械に頼らず、手作りで焼酎を作っている蔵として有名な山田酒造が誇る「長雲一番橋」。
手作りのため数に限りがあり、生産量は年間約400 石程といわれています。
山田酒造の有名な仕込みに「醪(もろみ)の泡立ち」があり、それによりまるで黒糖をかじったような酒質が生まれます。
南国フルーツのような香りと、黒糖の甘さと濃厚などっしりとした味わいが特徴。
重厚感のある味わいが好きな方はロックで、甘みの中にもスッキリとさせたい方はソーダ割りでお楽しみください。
(出典元:amazon)
3-10.島のナポレオン
奄美群島のひとつ、徳之島の豊かな自然に囲まれた、奄美大島にしかわ酒造で造られている「島のナポレオン」。
まるでりんごのような香りと、柔らかい口当たりが特徴。大自然の中の美味しい水で仕込まれているため、透明感がありとても飲みやくなっています。
こちらはぜひ牛乳割りで飲んで頂きたい銘柄です。牛乳で割ることにより更に甘みが引き立ち、一度飲むとクセになる味わいです。
(出典元:株式会社奄美大島にしかわ酒造)
3-11.奄美の杜
「里の曙」を生み出した町田酒造が造る「奄美の杜」。
里の曙を更にスッキリとした味わいとなっており、まろやかさが特徴。減圧蒸留で造られた後、原酒を3年以上熟成させることにより、甘くやさしい香りとやわらかな口当たりとなっています。
ラベルは奄美の自然を描いた日本画家「田中一村」の作品を使用しており、贈り物にも最適な一本です。
(出典元:ビックカメラ.com)
3-12.里の曙 ゴールド
こちらも町田酒造が誇る一本「里の曙 ゴールド」。
こちらは減圧蒸留で仕上げた里の曙と常圧蒸留の黒糖焼酎を絶妙なバランスでブレンドし、樽で熟成された琥珀色の黒糖焼酎です。
まるでブランデーのような独特な香りとふくよかな甘みが特徴。水割りにするとさっぱりとしてとても飲みやすくなります。
ウイスキーやブランデーなどの熟成されたお酒が好きな方にぜひ飲んで頂きたい味わいです。
(出典元:さとあけショップオンライン)
まとめ
黒糖焼酎について詳しく解説していきました。
蒸留の仕方や麹によっても風味や味わいは全く違います。
ぜひ自分好みの味わいを探して、黒糖焼酎を楽しんでみてください。