焼酎は熟成させると美味しくなると聞いたことはあるでしょうか?
多くの焼酎は一定期間熟成され出荷されていますが、更に長期熟成されているものもあります。
今回は焼酎を熟成する理由を解説していきます。
この記事の目次
1.大半の焼酎は「熟成」の過程を経て造られている
大半の焼酎は蒸留を終えると原酒を寝かせるため貯蔵・熟成されます。これは味に悪影響のある刺激臭やフーゼル油などを取り除くためです。
熟成により得られる効果を詳しく説明します。
1-1.熟成をする理由
蒸留によって発生した刺激臭を飛ばす
蒸留直後に感じられる若く荒いガス臭を一般的に”刺激臭”と呼びます。
蒸留直後には、刺激臭の元となるアルデヒドなどの成分が残っており、癖が強く飲みにくいです。1~3ヶ月熟成させることで、これらの成分が揮発し、刺激臭はどんどん消えていきます。そうすることで焼酎の香りや風味を安定させることができます。
原料に含まれる油分を取り除く
蒸留後には刺激臭だけでなく、原料に含まれる油分も含まれたままとなっています。
この油分は空気に触れると酸化し、油臭などの雑味を発生させる元となり、焼酎の劣化を早めてしまいます。貯蔵・熟成されている際の焼酎の表面には油分が析出しており、毎日のように除去される作業が行われています。この作業を丁寧に繰り返し行うことで、焼酎を劣化させることなく熟成を早めてくれ、より美味しい焼酎となっていくのです。
1-2.熟成期間はどれくらい?
焼酎の熟成期間は一般的に1〜3ヶ月程です。その後割り水し、瓶詰めされ出荷されます。
長期熟成された麦焼酎の多くは数ヶ月から数年、貯蔵してから出荷されるものもあります。熟成期間が長ければ長いほど、焼酎独特の香りが落ち着き、口当たりまろやかで深い味わいとなります。
2.熟成容器によって生まれる違い
基本的にはタンクで貯蔵されますが、甕や樽で熟成させることもあります。
貯蔵の方法によってもまた、香りや風味に違いが生まれます。
2-1.タンク貯蔵
一般的な貯蔵方法には、ステンレスやホーロー製のタンクが使用されています。
甕や樽と違い大量貯蔵が可能となり、容器のにおいが焼酎に移らないなどの利点があります。タンクで熟成させる秘訣のひとつに、ときどき中身を撹拌して焼酎と空気を触れさせる方法や、他にも装置を取り付け音楽を流し、細かい振動を与えて熟成させる方法もあります。蔵元それぞれ独自の熟成方法ができ、味わいにも細かい変化が生まれます。
2-2.甕壺(かめつぼ)貯蔵
甕壺(かめつぼ)は陶器製の容器のことであり、江戸時代より昔からある伝統的な貯蔵方法で、泡盛ではこの甕壺で長期熟成されることが多いです。
現在の国内では大きな甕を製造する業者がなく、中国産の甕を購入したり、廃業した蔵から譲りうけたりします。そのため、貴重な製造方法です。
タンクに比べ小容量のため、きめ細かい管理が可能で、陶器にあるごく小さな穴から焼酎が呼吸すると言われており、熟成が進みやすくなります。甕香といわれる陶器臭がつく場合もあります。
2-3.樽貯蔵
焼酎を木樽に入れて貯蔵させる方法で、オーク樽が一般的ですが、シェリー樽やブランデー樽、ワイン樽を使うこともあります。
樽で熟成させると、焼酎が琥珀色になり、樽香やバニラのような香りをともない、ウイスキーのような風味になるのが特徴です。
日本で初めて樽貯蔵焼酎を発売したのは田苑酒造と小正醸造(ともに鹿児島)でした。
3.熟成された焼酎の色について
3-1.色の濃さは酒税法によって制限されている
樽での熟成はだんだん琥珀色に色が濃くなっていきます。
焼酎の色は光電光度計を使って測定して、着色度が0.080以下と決められています。
樽で長期熟成し色が付きすぎると、ウイスキーと混同するため、酒税法上”焼酎”とは名乗れなくなってしまうため、このような制限がされているのです。
3-2.樽とタンクの併用などで長期熟成を実現
樽での長期熟成では色がつきすぎてしまうため、程よく琥珀色がついたらタンクに移します。そして無色の焼酎をブレンドさせたり、ろ過で色を取り除くなどの方法で色を調整させています。
このように極限まで焼酎を長期熟成させ、ブランデーのようなフルーティーな樽香をつけさせ、美味しい長期熟成焼酎が出来上がります。
まとめ
焼酎を熟成させる理由について解説していきました。
焼酎にとって貯蔵・熟成は、また味に変化が生まれるため大切な工程の一つです。
家でずっと保管しておいた焼酎が飲みやすくなったなんて話しを聞きますが、更に熟成された結果かもしれません。
みなさんもぜひ長期熟成された焼酎を試してみてください。