泡盛といえばビールや日本酒などに比べるとアルコール度数が高く、お酒の強い人が飲むものだと思われている方も多いのではないでしょうか?
確かに泡盛にはアルコール度数40度以上のお酒も存在しますが、全部が全部、アルコール度数が高いわけではないのです。そこで、この記事では、一般的な泡盛のアルコール度数や、種類によるアルコール度数の違いなどについて解説しています。ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
泡盛とは
泡盛とは、15世紀末には琉球(現在の沖縄県)で造られていた、日本で最も歴史の古い焼酎です。泡盛は主にインディカ米を原料とし、黒麹菌を用いた米麹によって発酵させ、もろみを単式蒸留器で蒸留して造られます。このような製法から、酒税法上では「単式蒸留焼酎(乙類)」の一種に分類されています。
泡盛はアルコール度数の上限が酒税法で45度以下と決められている
アルコール度数とは、摂氏15度において原容量に含まれているエチルアルコールの容量のこと。例えば、アルコール度数が25度の場合、摂氏15度において100ml中のお酒の中に25mlのアルコール分が含まれていということを意味しています。また、アルコール度数には「度」「°」「%」などの単位が使われることがありますが、すべて同じ意味合いです。
泡盛のアルコール度数の上限は、酒税法によって45度以下と定められています。一方、実際に市場に流通している泡盛には30度のものが多く、古酒では43度の商品が多いです。芋焼酎や麦焼酎などの本格焼酎のアルコール度数は20~25度のものが多いため、泡盛は本格焼酎よりも少し高めと言えるでしょう。
なお、与那国島には60度の酒がありますが、酒税法上は泡盛と名乗ることはできず、「スピリッツ類」に分類されています。
なぜ30度と43度が多いのか?
泡盛に30度が多いのは、水割りで飲むとゆったりとほろ酔いになるから、というのが一般的な理由と言われています。確かに誰かと楽しく泡盛を飲むときは長時間飲めたほうがよいので、強すぎるお酒よりも、適度な度数の方が受け入れられやすいのです。
一方、古酒に43度のものが多い理由には諸説あるようですが、45度で製品化しようとすると酒税法の規定から外れてしまう可能性がある、というのが理由のひとつとなっています。泡盛は酒税法で45度以下と定められていますが、45度のまま貯蔵していると、時の経過とともに水分が蒸発し、アルコール度数が1~2度上昇してしまうことがあるのです。そのまま出荷してしまうと、その泡盛は酒税法上「スピリッツ類」に分類されてしまうことになるので、多少は度数に変動があっても45度を超えない43度が一般的になったのでした。
ただし、例外的に、宮古島の古酒には35度のものが多くあります。
古酒(クース)とは
泡盛の古酒とは、全量を3年以上貯蔵した泡盛のこと。泡盛は長期熟成させるほど、泡盛に含まれる成分が香りや味わいをもたらす成分に変化するため、香りは芳醇に、口に含んだ時の舌触りはまろやかになっていきます。そのため、ウィスキーやブランデーも熟成年数が長い方が高級であるのと同じように、泡盛も長い年月が経った古酒ほど、珍重されて高額になるのです。
飲みやすい「マイルド」表記の泡盛がトレンドに!?
最近では、消費者のさまざまなニーズに応える形で、マイルドさや飲みやすさを追求した25度以下の泡盛も増えてきています。なかにはワインや日本酒と同等の12~15度といったものもあるようです。
25度以下の泡盛に限って、ラベルに「マイルド」と表示することができるので、「アルコールの強いお酒は苦手だけど、泡盛を試してみたい」という方や、「日頃の晩酌用の泡盛には、次の日もあるからアルコールが強くないものを選びたい」という方は、「マイルド」表記のあるものを選んでみてはいかがでしょうか。
爽酒や薫酒、醇酒でアルコール度数の違いはある?
泡盛にはさまざまな味わいのものがあります。ワインの味わいを「フルボディ」や「ミディアムボディ」などという言葉で表すように、泡盛の味わいはよりソフトなものから順に「爽酒」、「薫酒」、「醇酒」などの言葉で表します。それぞれの特徴は後ほどご説明しますが、アルコール度数に関しては、どのタイプにもあまり違いはありません。どのタイプの泡盛も、やはりアルコール度数30度のものが主流となっています。
以下、参考にそれぞれの用語について簡単に紹介します。
爽酒(そうしゅ)
爽酒は比較的クセが少なく、ソフトで飲みやすいタイプの泡盛です。そのような味わいに仕上げるための鍵は、蒸留方法にあります。多くの泡盛は常圧蒸留で造られますが、このタイプの泡盛は蒸留器の内部圧力を下げて、減圧蒸留によって造られるため、より低い温度で蒸留することができ、雑味をおさえた爽やかな味わいに仕上げることができるのです。泡盛初心者の方には特におすすめのタイプの泡盛と言えるでしょう。
薫酒(くんしゅ)
薫酒とは香りが強い泡盛のこと。フルーティーな香りや、アーモンドのような香ばしい香り、バニラのような甘い香りなど、銘柄によってさまざまな風味が感じられます。そのような風味を存分に楽しみたい場合は、ストレートやロックで飲むのがおすすめです。
醇酒(じゅんしゅ)
醇酒とは、濃厚で複雑な味わいが特徴の泡盛です。瓶詰め前のろ過をあえて軽くすることで、個性やコクを残した味わいに仕上げられています。泡盛特有の風味がお好きな方には、特におすすめのタイプと言えるでしょう。
有名銘柄のアルコール度数をご紹介
残波(25度~43度)
沖縄県読谷村の比嘉酒造が手掛ける「残波」。居酒屋での取り扱いも多く、数ある泡盛の中でも高い知名度を誇る泡盛の銘柄です。
残波シリーズには通称「ザンシロ」と呼ばれる「残波ホワイト」、「ザンクロ」と呼ばれる「残波ブラック」、長期熟成酒の「残波古酒」などの商品ラインナップがあり、それぞれのアルコール度数は、「残波ホワイト」が25度、「残波ブラック」が30度、「残波古酒」が43度となっています。
(出典元:amazon.com)
久米島の久米仙(13度〜43度)
「久米島の久米仙」は沖縄本島から西に100kmほどの東シナ海に浮かぶ久米島で造られる泡盛です。自然豊かな久米島から湧き出る名水を使って仕込まれる「久米島の久米仙」には様々な商品ラインナップがあり、アルコール度数もそれぞれ変わってきます。最も低いもので13度。日本酒やワインと同等の度数で、ストレートで飲むことを前提に造られています。他にも、マイルドなタイプの25度、スタンダードな30度、古酒では40度と43度のものがあります。
(出典元:amazon.com)
時雨 ブラック(25度~43度)
「時雨」は首里城のふもとの首里赤田町にある識名酒造が手掛ける焼酎です。識名酒造は奇跡的に戦火を逃れた約150年物の古酒を保有している酒蔵としても知られています。
広く親しまれている「時雨」のアルコール度数は30度ですが、オンラインと蔵元直販の「ピンクボトル」は25度、「ピンクボトル古酒」は29度、長期熟成型の「壺」は43度となっています。
(出典元:amazon.com)
直火請福(30度・43度)
「直火請福(じかびせいふく)」は沖縄県石垣島の請福酒造が手掛ける泡盛です。同酒造こだわりの直火釜蒸留法で、泡盛の旨みを逃すことなく封じ込めています。
アルコール度数はスタンダードなタイプで30度、古酒で43度となっています。
(出典元:amazon.com)
瑞泉(10度~43度)
「瑞泉」は首里の城下町で長きにわたって泡盛造りをおこなう瑞泉酒造が手掛ける泡盛です。アルコール度数は10度のライトなものから、43度の古酒まで多岐にわたっています。
(出典元:amazon.com)
アルコールが強すぎると感じたときのおすすめの飲み方
一般的な泡盛のアルコール度数は、ビールや日本酒、他の焼酎に比べても少し高め。そこで、泡盛のアルコールが強すぎると感じたときのおすすめの飲み方を紹介します。
水割り
沖縄でもっともポピュラーな泡盛の飲み方です。水割りの場合、割水に加え、さらに氷からも水が解け出ることにより、アルコール度数をかなり低くすることができます。また、泡盛はもともと備わっている香りや風味が強いので、水で割っても風味が消えず、まろやかな味わいに変化するのです。
ソーダ割り
無糖の炭酸水で割るソーダ割りも、アルコールを抑えるのに有効です。シュワシュワとした喉越しに、爽やかな飲み口で、暑い日にもピッタリな飲み方です。また、お好みでレモンやライム、ミントなどを加えれば清涼感が増し、カクテルのような感覚で楽しめるようになります。
牛乳割り・コーヒー割り
意外かもしれませんが、泡盛を牛乳やコーヒーで割る飲み方は、沖縄ではポピュラーな飲み方となっています。
牛乳で割ることで泡盛がまろやかな味わいになり、コーヒーで割ることで泡盛がすっきりとした味わいになるのです。泡盛の初心者の方におすすめではありますが、泡盛通の方もぜひ一度試してみてくださいね。
まとめ
泡盛のアルコール度数について解説しました。スタンダードな泡盛のアルコール度数は30度が主流ですが、古酒では43度が主流となっていたり、なかには10度台の泡盛もあったりと、実に幅広い度数の泡盛が存在します。泡盛を選ぶときは、ぜひ飲む人に合ったアルコール度数のものを選ぶようにしてくださいね。
泡盛といえばコーヒー割りですね
割り方の紹介があまりないのが残念です。
シークワーサー割りも美味しいですよ。
先月、瑞泉の古酒も飲みましたが、まろやかさでコクがあり、オススメです。