お酒は、カロリーや糖質が高いからダイエット中には、飲むのを避けた方が良いと思っている人が多いようです。しかしお酒の中でも、焼酎は太りにくいから大丈夫という話を聞くことがあります。果たしてこの噂は本当なのでしょうか?
この記事の目次
1. 焼酎は太るのか太らないのか?
焼酎には、糖質が含まれないため太りにくいお酒と言われています。ただ、そんな焼酎も飲み方を間違えるとカロリーや糖質を摂り過ぎて太る原因となります。そもそも肥満の原因は、糖質や脂質の摂り過ぎと考えられています。どのようにお酒を飲むのかや、どんなおつまみと一緒に飲むのかによって、摂取するカロリーが変り太る原因となることもあります。
2. 焼酎の糖質とカロリーは?
文部科学省の「食品成分データベース」で、焼酎のカロリーを調べると次のようになっています。
アルコール度数 | エネルギー(カロリー) | |
甲類焼酎 | 30度 | 206kcal |
乙類焼酎 | 20度 | 146kcal |
参考:文部科学省「食品成分データベース」
https://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=13822
2-1. 甲類と乙類でカロリーが違う理由
焼酎には、大きく分けて甲類焼酎と乙類焼酎があります。まず、最初にこの甲類と乙類の違いから説明しましょう。
甲類焼酎
「甲類焼酎」とは、明治時代以降に導入された蒸留方法によってつくられているため「新式焼酎」とも呼ばれています。連続蒸留機を使って原料を糖化し、発酵して生まれる醪(もろみ)を連続的に蒸留するため、高純度のアルコールが取りだされます。そのため無色透明でクセのない焼酎となります。酒税法によってアルコール度数は、36%未満となれているため、水を加え調整されます。
乙種焼酎
「乙種焼酎」は、昔ながらの単式蒸留機によって蒸留される焼酎で、甲類焼酎の新式焼酎に対して、「旧式焼酎」と呼ばれることもあります。蒸留方法が非常にシンプルなため、アルコールだけでなく香りの成分も抽出されるため、それぞれの原料の違いによって個性があります。米焼酎、麦焼酎、芋焼酎、そば焼酎などの種類があり本格焼酎とも呼ばれます。なかでも沖縄県特産のものは、特に「泡盛」と呼ばれています。
甲類と乙類でカロリーが違う理由
実は、焼酎には糖質も脂質も含まれていません。芋焼酎などは飲むと甘みを感じますが、香りが甘いだけで実際には糖質は含まれていないのです。先ほど表でご紹介した通り、甲類焼酎と乙類焼酎ではカロリーが違いますが、これはアルコール度数の違いによるものです。お酒のアルコールは、1gあたり7.1kcalのエネルギーを生産します。
2-2. 甲類でオススメの焼酎
宮崎本店 亀甲宮(通称キンミヤ焼酎)
ホッピーのベースとして定番の「宮崎本店」の「亀甲宮(通称キンミア焼酎)」には、20度、25度、35度とアルコール度数の違う商品がありますが20度の場合のカロリーは146kcalとなります。ちなみにホッピーのカロリーは、100mlあたり約11kcalです。
宝酒造 宝焼酎
甲類焼酎では、キンミヤと並んで人気の「宝酒造」のメイン銘柄「宝焼酎」。こちらもアルコール度数は、20度、25度、35度の商品があります。20度のカロリーは146kcalです。
2-3. 乙類でオススメの焼酎
黒霧島
宮崎県に本社を置く「霧島酒造」を代表する芋焼酎が「黒霧島」です。単式蒸留法によってつくられているため、芋本来の甘い香りととろっとした飲み口が楽しめます。アルコール度数は、20度と25度の商品があり、100mlあたりのカロリーは、20度で111kcal、25度で139kcalです。
参考:霧島酒造ホームページ
https://www.kirishima.co.jp/customer/faq/index.php?category=0
いいちこ
「いいちこ」は、大分県の酒造メーカー「三和種類」がつくる麦焼酎で、下町のナポレオンの愛称で親しまれています。アルコール度数は、20度と25度があり、100mlあたりのカロリーは、20度で113kcal、25度で141kclです。
参考:三和種類ホームページ
https://www.iichiko.co.jp/support/faq/?cid=32
3. 焼酎と他のお酒のカロリーの比較
他のお酒とカロリーと炭水化物を比較してみました。
種類 | 100gあたりカロリー | 炭水化物(糖質) |
ビール(淡色) | 40kcal | 3.1g |
ワイン(白) | 73kcal | 2.0g |
日本酒(純米酒) | 103kcal | 3.6g |
焼酎(20度) | 146kcal | 0g |
ウイスキー | 237kcal | 0g |
数字だけ比較すると、100gあたりではビールが40kcalと一番少なく、ウイスキーが237kcalと一番高くなっている。これはアルコール度数の違いによるものである。一方、糖質は蒸留酒である焼酎やウイスキーには含まれていません。
1杯辺りで摂取するカロリーについては、以下の記事の(2-1. 日本酒、ワイン、ビールと比較)で紹介しています。
4. 焼酎が太りにくい理由
焼酎を飲んでも太りにくいのは、糖質が含まれていないことと、お酒のアルコールに含まれるエネルギーが「エンプティ・カロリー」と呼ばれるものであることが理由であると言われています。
4-1. 糖質0
お酒は、大きく分けてビールや日本酒、ワインなどの「醸造酒」と焼酎やウイスキーなどの「蒸留酒」に分類されます。醸造酒は、穀物や果物を酵母によってつくられるお酒で、蒸留酒に比べるとアルコール度数は低くなりますが、原料の糖質が残ります。一方、蒸留酒は、醸造酒を加熱して蒸発させ、その蒸気を冷やすことで液体に戻してつくっています。さまざまな成分が含まれる醸造酒を蒸留してアルコールだけを抽出しているため、アルコール度数は高くなりますが糖質などは残っていません。
4-2. エンプティ・カロリー
お酒のアルコールは「エンプティ・カロリー」と言われて、そのためお酒を飲んでも太りにくいと思っている人が多くいるようです。先に説明した通り1gのアルコールは約7kcalに換算されます。エンプティ・カロリーとは、カロリーがないことではなく、カラダのために働く栄養素が含まれていないという意味です。ただ、お酒のカロリーは熱として消費されやすく体内に蓄積されにくいと言われています。そのため「お酒は飲んでもカロリーがカラダに吸収されないので、太りにくい」と言われることがあるようです。
5. 焼酎で太る原因は飲み方・食べ合わせ
糖質が0で太りにくいと言われている焼酎ですが、焼酎で太ってしまったという人にはどのような原因があるのでしょうか。
5-1. 糖質・カロリーのあるもので割っている
甲類焼酎の場合、焼酎そのものがクリアでクセがないため、他の飲み物で割って飲むことが多いようです。この際、ジュースなどで割った場合には、その分のカロリーが加わります。居酒屋などで人気の酎ハイやサワーは、焼酎に甘味や酸味を加えて炭酸で割っています。特に甘みを強く感じるものは糖質が多く含まれているので、飲み過ぎると太る原因となることがあります。
5-2. 一緒に食べるもののカロリー・糖質
お酒を飲むとついつい食べ過ぎしまう。飲み会の〆に、ラーメンやスイーツを食べてから帰るという人も少なくないと思います。お酒を飲むとどうして食欲が増すのでしょうか。実は、ロンドン大学の研究グループによって、お酒のアルコールが食欲に関わる脳の神経細胞を刺激している可能性が高いという研究結果が発表されました。
焼酎に糖質が含まれていないからと言っても、一緒に食べる料理やおつまみが高カロリーや高脂質・糖質であれば太る原因になります。そして食べる量にも気を付ける必要があります。
6. ダイエッターの正しい焼酎との付き合い方
では、ダイエット中の人が焼酎を楽しむには、どのような点に注意したら良いのでしょうか。
6-1. 水割り・お湯割り・炭酸水割り
焼酎を飲む時は、「水割り」や「お湯割り」がおすすめです。水やお湯にカロリーが含まれていません。水割りやお湯割りで飲むならクセのない甲類焼酎より、原料の風味や味わいを楽しめる乙類焼酎を選ぶとよいでしょう。また、お茶割りや糖分が含まれていない炭酸で割る飲み方もおすすめです。
6-2. 太らないためにおすすめのおつまみ
お酒を飲むと、ついつい揚げ物など脂っこい料理や味の濃いおつまみが食べたくなりますが、ダイエットを意識するなら、比較的カロリーが少ない、冷奴などの豆腐料理やお刺身などの魚料理、サラダなどの野菜料理を選ぶようにしましょう。肉料理を選ぶ時には、脂質が少ない鶏のむね肉やささみを使った料理がおすすめです。しかし、いずれの料理も食べ過ぎてしまえば、摂取カロリーが多くなり太る原因となるので気を付けましょう。
7. まとめ
太りにくいお酒と言われる焼酎ですが、飲み方や一緒に食べる料理やおつまみ次第では、カロリーを摂り過ぎて太ってしまうこともあります。飲みすぎにも食べ過ぎにも注意して、焼酎を楽しみましょう。