芋焼酎の本場と言われる鹿児島県の南に浮かぶ離島「屋久島」。その屋久島で造られる人気の本格焼酎が「三岳(みたけ)」です。今回は、「三岳(みたけ)」の特徴や歴史、蔵元、産地などについて解説します。すでに三岳のファンの人はもちろん、まだ三岳を味わったことがないという人も、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
1. 三岳(みたけ)とは
「三岳(みたけ)」とは、ユネスコの世界自然遺産に認定された屋久島で造られる薩摩焼酎です。年間生産量が少ないため、焼酎ブームの時には入手困難となりプレミアムな焼酎とされていました。焼酎の本場と言われる鹿児島には、たくさんの銘柄がありますが、そのなかでもすっきりとした口当たりで飲みやすいと評判なのが「三岳」です。では、三岳の特徴について紹介しましょう。
1-1. 三岳の特徴
1-1-1.三岳の原料
屋久島でも、原料となるさつまいもの栽培がおこなわれるようになりましたが、まだ生産量はそれほど多くはありません。そのため、「三岳」に使われているのは、鹿児島産の厳選されたさつまいもです。屋久島は離島のため、台風など気象状況によっては原料の確保が難しかったり、湿度が高いため温度管理が難しいなどの状況にありますが、「三岳」は職人の丁寧な仕事により高品質の焼酎に仕上げられています。
なお、麹は白麹、お米には鹿児島の焼酎では珍しく、タイ米が使用されています。
1-1-2.仕込み水
「三岳」に使用される仕込み水は、屋久島の緑あふれる原生林に降った雨が、花崗岩によってろ過された地下水。亜熱帯の北の端に位置する屋久島は、年間を通して降雨による水量が豊富で多くの河川があります。手つかずの自然が残された屋久島の川には、ほとんど人の手が加えられることなく清冽な水が流れています。なかでも、ユネスコの世界自然遺産にもなっている宮之浦岳からの流水は、「屋久島宮之浦岳流水」として環境省の名水100選に選定されています。
1-2. 三岳の味わい
屋久島の名水によって仕込まれた「三岳」は、味わい深いうま味がありながらも、すっきりとした口当たり。芋の香りがほんのりとして、甘みのあるのどごしが特徴です。芋焼酎としては飲みやすいため、芋焼酎をあまり飲みなれていない人や女性にも人気です。
地元では、約半量のお湯で割る「お湯割り」で飲まれることが多いですが、クセが少なくすっきりとした口当たりのため、水割りやソーダ割り、ストレート、オンザロックとどの飲み方にもよく合います。
(出典元:紀乃島屋)
1-3. 三岳のラインナップ
「三岳」には、他に限定販売されている「原酒三岳」と「春薩摩 旬あがり三岳」があります。
「原酒三岳」は、三岳を蒸留した後に、加水を一切せずに原酒のまま瓶詰めされています。アルコール度数は39度と高めですが、三岳本来の深い味わいが楽しめます。飲み方がロックやストレートがおすすめです。
「春薩摩 旬あがり三岳」は、春季限定発売の特別な三岳です。一般的に芋焼酎は、さつまいもが収穫される秋に仕込みが行われ、毎年秋にはできたての新酒が楽しめます。「春薩摩 旬あがり三岳」は、収穫したての新鮮なコガネセンガンで仕込んだ新酒を単一のタンクで150日間貯蔵熟成させた原酒のみを瓶詰しています。熟成させたことで、新酒の荒々しさが消えて、まろやかな口当たりが楽しめます。
2. 蔵元・産地
薩摩焼酎「三岳」を造っているのは、屋久島にある「三岳酒造株式会社」です。屋久島は、鹿児島県の大隅半島佐多岬の南南西約60kmの海上に浮かぶ周囲約130km、面積504.29㎢の島です。島全体の約9割が森林と豊かな自然が残され、1993(平成5)年に、島の中央に位置する標高1936メートルの宮之浦岳を含む屋久杉自生林など、島の面積の2割以上にあたる107.47㎢がユネスコの世界自然遺産に登録されました。
三岳の名前は、洋上のアルプスとも言われる九州最高峰の「宮之浦岳」と「黒味岳」、「永田岳」の急峻な三つの山にちなんで命名されました。三岳酒造では「三岳」の他に、「愛子」「酔ふよう」「やくしま」「屋久の石楠花」といった商品を製造しています。それぞれの特徴は次の通りです。
愛子
焼酎の販売元である寺田商店が、三岳酒造に依頼して造った焼酎で、常圧蒸留と減圧蒸留の両方で仕込まれています。屋久島で古くから山岳信仰の対象となっていた「愛子岳」から名付けられた焼酎で、2001(平成13)年に愛子内親王殿下が誕生された時に、献上されたことで一躍有名となりました。
(出典元:楽天市場)
酔ふよう
三岳と同じ原材料が使われている「酔ふよう」ですが、こちらは限定販売の商品です。三岳同様に、まろやかな飲み口と豊かないもの風味が特徴です。
(出典元:楽天市場)
やくしま
「やくしま」は屋久島限定販売の商品です。加水をしない原酒が瓶詰めされているためアルコール度数が35度あります。三岳より強い芋の甘みと濃厚な味わいが特徴です。
(出典元:ヨドバシ.com)
屋久の石楠花(やくのしゃくなげ)
三岳は、1次仕込みのみかめ壺で行っていますが、「屋久の石楠花」は1次仕込み、2次仕込みをかめ壺で行なっています。少量生産のプライベートブランドで、鹿児島県でもなかなか手に入らない希少な焼酎です。
(出典元:鹿児島の地酒専門店 コセド酒店)
3. 三岳の歴史
薩摩焼酎「三岳」を造る「株式会社三岳」は、1958(昭和33)年に姶良郡(あいらぐん)にあった栗野酒造株式会社を買収。商号を株式会社三岳に変更して操業を開始しました。初代社長は、県議会議員でもあった佐々木一雄氏で、現在の社長は3代目となります。
4. 購入方法
焼酎ブームの時には、入手困難となった「三岳」ですが、現在は通常販売されていて比較的入手しやすく、お手頃な価格で手に入れることができます。近くの酒店で取り扱いが無い場合には、インターネット通販などで探してみましょう。
ただし、「春薩摩 旬あがり三岳」は、春季限定販売の上、通常の「三岳」よりさらに生産量が少ないため、入手できる時期が限られています。購入したいという人は、酒屋さんに予約しておくと手に入れやすいかもしれません。
5. 評判
「三岳」を実際に飲んだ人の評判をインターネット通販の口コミからご紹介します。参考にしてください。
何度も購入している、大好きな芋焼酎です。芋の香りがしっかりしていて、お湯割りが最高でっす!!
くせが強くなくどんな料理にも合う。おすすめします!
赤兎馬を飲んでいましたが、妻が屋久島に行った際お土産に買って来ました。飲んで驚き、まろやか、美味すばらしいい!
しっかりした芋の風味が楽しめます。味に芯がある、という感じで、こういう芋焼酎が旨いなと、私は自然に思いました。本当の芋焼酎という感じです。しっかりした芋の風味がほしい人には満足のいく、まぎれもない逸品だと思います。
少し喉をかく爽やかさが大好きです。屋久島が好きなのでそれも美味しさのプラスになっているかも?
芋焼酎が苦手な人でも飲めるかもしれない。それほど芋特有のクセが強くない。芋の中では非常に澄んだ泉のようなお酒。
参考:Amazon
まとめ
ユネスコの世界自然遺産に認定された屋久島で造られる「三岳」は、年間の生産量が少ないことから、焼酎ブームの際には入手困難となり、プレミアム焼酎と呼ばれましたが、現在はネット通販でも比較的容易に購入することができます。屋久島の名水で仕込まれたすっきりとした口当たりで、飲みやすいと評判の銘柄です。まだ「三岳」を味わったことがない人は、ぜひ1度味わってみてくださいね。