1度は聞いたことのある「プリン体」という言葉。言葉は知っているけれど、「身体に良くないもの」としか知らない・・・そんな方も多いのではないでしょうか。
焼酎にプリン体って含まれてるの?他のお酒と比べて多い?少ない?
今回は、お酒とは密接な関係にあるプリン体の謎について解説していきます。
この記事の目次
1.プリン体とはなにか
プリン体とは本来、遺伝子(DNA)を構成している物質の1つで、生命活動を維持するために必要なエネルギー源です。そして、生命活動維持のために必要なプリン体の8割(1日に約500mg)は常に体内で生成されています。
まずはプリン体と痛風の関係から見ていきましょう。
1-1.痛風の原因はプリン体による尿酸値の上昇
尿酸とはプリン体が肝臓で分解されたときに生じる老廃物のこと。体内のプリン体は細胞の代謝などに利用されますが、利用しきれなかった一部のプリン体は尿酸となって体外に排出されます。
尿酸は一定量までは血液に溶けますが、プリン体の過剰摂取により溶けきれなかった尿酸はやがて結晶化し始めるのです。この結晶が身体の至るところに沈着して痛風を引き起こします。
1-2.痛風になるとどうなる?
血液中の尿酸値が7.0mg/dl以上のことを高尿酸血症と呼び、その中で痛みが出た場合に痛風と診断されます。
痛風とは「風が触れるだけでも激痛が走る」と言われるほどの痛みの強さが特徴。結晶化した尿酸は針のような形をしているため、この結晶が関節内に現れると激痛が走るのです。
足の親指の付け根で発症することが多く、突然赤く腫れて痛み始めます。2~3日は歩けなくなる程の激痛が続き、その後1週間~10日で自然に治まりますが、放置すると半年~1年後に再発。悪化すると腎臓が悪くなったり、尿路結石ができてしまう病気です。
1-3.成人が1日に摂取可能なプリン体の量
では、1日にどれくらいのプリン体摂取ならば安全なのでしょうか?
プリン体を摂取する量として1日「400mg程度」が推奨されています。その中でも日本人の1日のプリン体摂平均値は150mg程度。日本には約90万人の痛風患者がいて、そのほとんどが男性です。女性の場合、女性ホルモンが尿酸の排泄を促すため、男性に比べて痛風にかかりにくいと言われています。
2.焼酎に含まれるプリン体の量は?
プリン体が多いお酒と言えばビールを思い浮かべる方も多いと思います。
では焼酎に含まれるプリン体の量はどれくらいなのか調べてみましょう。
2-1.実は焼酎はプリン体、糖質ともに0!!
焼酎は蒸留(熱することで出来た蒸気を冷やし、液体として回収すること)という工程を通して作られています。焼酎の原材料に含まれているプリン体などは、この蒸留工程で取り除かれるため、焼酎はプリン体・糖質ともに0なのです。
では、ほかのアルコール類はどうなのでしょうか。100ml中のプリン体含有量をみてみましょう。
・焼酎(25%)・・・0.0mg
・日本酒・・・1.2mg
・ビール・・・3.3~6.9mg
・発泡酒・・・0.1~3.9mg
・地ビール・・・6.8~16.6mg
このように、蒸留酒にはプリン体が含まれず、醸造酒の方が多くのプリン体を含んでいます。
3.「糖質もプリン体もないしたくさん飲んでも大丈夫!」というわけではない
焼酎は糖質もプリン体も含まないので、痛風とは関係ないようにも思えますが、実はそうではありません。
そこには2つの問題があります。
3-1.アルコールによる尿酸値の上昇
1つ目の問題は、アルコール自体に尿酸値を上げる働きがあることです。プリン体が0の本格焼酎でも、アルコールを摂取することで尿酸値は上昇します。
さらにお酒を毎日飲む人は痛風の危険度が2倍にもなるそうです。
3-2.アルコールによる食欲の増進
お酒を飲むとつまみも欲しくなりますよね。実はお酒よりも食べ物の方がプリン体の含有量が多いのです。
プリン体は食べ物全般に含まれていて、主にうま味の成分を構成しています。プリン体の含有量が多い食べ物をいくつかご紹介します。参考にしてください。(mg/100g)
・レバー・・・鶏312.2mg、豚284.8mg、牛219.8mg
・大正エビ・・・273.2mg
・牡蠣・・・184.5mg
・カツオ・・・211.4mg
・あんこう肝(酒蒸し)・・・300.2mg
・イサキ白子・・・305.5mg
・ササミ・・・153.9mg
まとめ
焼酎はプリン体0のため、ビールなどの醸造酒より健康的なお酒と言えます。
しかし、アルコール自体が尿酸値を上昇させる働きがあるため油断は禁物です。また、プリン体はお酒よりも食べ物に豊富で、うま味の強いものには特に多く含まれています。
食べ過ぎ・飲み過ぎに注意して痛風を予防しながら、いつまでもおいしくお酒を楽しみましょう。