ボトルに無濾過(むろか)焼酎と記載されている焼酎を見たことがありますか?
ほとんどの焼酎は濾過という工程を経て造られています。無濾過焼酎とは濾過をしていない焼酎のことです。
では濾過してある普通の焼酎と何が違うのでしょうか?そもそも何を濾過しているのでしょうか?
今回は無濾過焼酎について詳しく解説していきます。
この記事の目次
1.無濾過(むろか)焼酎と普通の焼酎との違い
1-1.そもそも濾過(ろか)とは?
濾過とは、液体または気体に混ざっている混合物を、細かい穴がたくさんあいた多孔質に通して、穴よりも大きな固体の粒子を液体や気体から分離する作業のことをいいます。
お酒造りが始まった大昔から、ワインなどのお酒の精製に濾過する作業は必要とされてきました。
身近なろ過の例としては、お茶を淹れる急須の中の網やコーヒーを淹れる際に使うコーヒーフィルター、掃除機で吸い込んだ異物を捕捉するフィルターなど、濾過の原理を活用したものは様々あります。
1-2.焼酎造りで濾過をしている理由
焼酎造りで濾過をしている理由は、ゴミなどの不純物を取り除くことや余分な油成分の除去などを行うためです。
旨味成分でもある焼酎油やフーゼル油といった成分が多すぎると、寒くなった時に凝固してゴミのように浮かんでクレームの原因になったり、酸化して油臭の要因となったりしてしまいます。そのため、油分は寒い時期に貯蔵タンクに浮いてきたところをすくい取ったり、冷却濾過などをして、ある程度取り除きます。
1-3.無濾過焼酎は濾過がされていない焼酎
無濾過焼酎は、冷却濾過や炭素濾過、イオン交換などをせずして出荷する焼酎のことです。
瓶詰めの際にゴミ取りを目的とした濾過はしなければいけないので完全な無濾過というわけではありません。そのため、ゴミを取り除く程度の最小限の濾過だけしたものを無濾過焼酎と呼びます。
濾過を控えめにした焼酎は旨味の元となる油分成分をたっぷりと含んでおり、うっすら沈殿物があり濁ってみえることから、「にごり焼酎」と呼ばれることもあります。
2.無濾過焼酎の特徴
無濾過焼酎の特徴は、通常の焼酎では感じることのできない素材本来の香りや濃厚な旨味を存分に堪能できることです。
本来なら取り除かれるはずの油分成分を含んでいるため、昔ながらの焼酎の味わいに近いと言われていて、その懐かしい味わいに虜になる焼酎通の方は多くいらっしゃいます。
通常の焼酎は賞味期限がないと言われていますが、油が酸化していくと味わいも変化してしまうため、新鮮な状態で早めに飲み切ることが大切です。保管場所など品質管理にはくれぐれも注意してください。
3.無濾過と荒濾過・原酒との違い
3-1.荒濾過とは?
無濾過と似た工程で、荒濾過という製法があります。これは濾過の技術が確立されるよりも前の製法で、手作業によりゴミや油分を取り除く作業だけをしている焼酎のことをいいます。
3-2.原酒とは?
原酒とは蒸留してそのままの状態のお酒のことをいいます。法律での本格焼酎は、アルコール度数45%以下、甲類焼酎はアルコール36%未満と定められており、原酒を製品化する場合には法定どおりかこれより下回る度数で出荷されます。そのため焼酎の原酒はアルコール度数が高く、銘柄の度数をダイレクトに感じることができ、豪快かつ濃厚さをガツンと味わえることが原酒の魅力です。
無濾過焼酎ももちろん濃厚さを感じる事ができますが、割り水されており、マイルドに濃厚さを味わうことができます。
その時の気分に応じて原酒焼酎と無濾過焼酎を飲み分けすることもおすすめです。
まとめ
無濾過焼酎について詳しく説明していきました。
無濾過焼酎では通常の焼酎では味わう事のできない、香りや風味を堪能することができます。焼酎通の方ならぜひ一度は体験していただきたいお酒です。焼酎をプレゼントに選ぶ際にも候補に入れていただきたいおすすめの焼酎です。
まずは一度お手に取って無濾過焼酎ならではの魅力を味わってみてください。