みなさんがご存知の芋焼酎、麦焼酎、米焼酎もそれぞれの香りがあり、それが焼酎の魅力のひとつでもあります。
では、焼酎の香りの違いはどこからくるのでしょうか?また、どのようにその香りが引き出されるのでしょうか。
今回は焼酎の香りについて詳しく解説していきます。
この記事の目次
1.焼酎の香りを構成する要素
焼酎の香りを構成する要素となるものは、原料・麹・酵母の3点が重要となってきます。そこに製法上の工夫や熟成期間などによってさらに焼酎の香りが左右されます。
まずは原料から順番に見ていきましょう。
1-1.原料
焼酎の原料には、芋、麦、米の他にも、そば、紫蘇、黒糖などがあり、主原料により香りが異なります。
その中でも圧倒的人気の芋焼酎、麦焼酎、米焼酎の香りを紹介します。
芋焼酎の香り
芋焼酎はなんといってもサツマイモのふくよかな甘い香りが特徴です。原料であるサツマイモの種類によっても香りが全く異なります。
芋焼酎の香りが苦手という方もいらっしゃいますが、フルーティーな香りやまるで焼き芋のような香りなど様々な種類があり、クセになる味わいですので、ぜひとも試していただきたい焼酎です。焼酎通の方には特に、昔ながらの製法で造られた芋の香りが強く、クセのある焼酎が好まれます。
麦焼酎の香り
麦焼酎の香りは麦由来の香ばしさが特徴です。その香ばしさが焼酎を締め、本格焼酎の中でもクセのないすっきりと飲めるものが多い焼酎です。
サワーや酎ハイは、甲類焼酎の次に麦焼酎で割ってあることが多いです。芋焼酎に比べると甘みが少なく、割っても邪魔しない香りのため、割ることに最適な焼酎です。
クセの少なさや割って飲めることから、焼酎初心者の方や女性の方に好まれています。
米焼酎の香り
焼酎の中でも一番香りがイメージしやすいのが米焼酎です。お米を原料としていることから日本酒に近い香りとなっています。
お米の持つ甘くふくよかな香りと日本酒にも感じられるようなフルーティーさが特徴。お米の品種によってもその香りが異なります。日本酒とは違い、焼酎の蒸留により凝縮された香りを活かし、割って飲む事でも人気があります。
日本酒好きの方にぜひともおすすめしたい焼酎です。
1-2.種麹
焼酎を造る際に重要なのが麹。その麹には白麹や黒麹、黄麹など種類があり、それによってもまた香りが異なります。
白麹はスッキリとシャープで軽快な味わりになり、黒麹はインパクトのあるどっしりとした味わい、黄麹はフルーティーで華やかな味わいに仕上がります。
1-3.酵母
焼酎を造る工程の中で、麹に水と酵母を加え発酵させ、もろみを造る「一次仕込み」があります。その際に使用する酵母によっても、焼酎にさまざまな香りをつけることが出来ます。
最近ではワイン酵母やビール酵母などをあえて使用することにより、ワインのような香りやフルーティーで吟醸香を思わせるような香りなど、今までの焼酎にはなかった新たな風味の焼酎が楽しめるようになりました。
1-4.蒸留方法
原料由来の香りをどこまで引き出せるかは蒸留方法次第となり、焼酎の香りを決定づける工程となります。蒸留により、主原料や麹、酵母などで引き出した香りをどこまで抽出するかによってまた香りが違ってきます。
焼酎の蒸留方法は2種類あり、「単式蒸留」と「連続式蒸留」です。連続式蒸留では、香りや雑味がないクリアな味わいとなる甲類焼酎を作る際に使われます。単式蒸留では、主原料の香りをふんだんに引き出せるため、本格焼酎を作る際に使用される蒸留方法です。
単式蒸留の中にも「常圧蒸留」と「減圧蒸留」の2つの方法があり、常圧蒸留は昔ながらの原料の香りをふんだんに引き出せることが出来る特徴があります。一方で、減圧蒸留は香りはやや控えめとなり、とても飲みやすい本格焼酎になります。
1-5.熟成期間
蒸留して出来た焼酎は、寝かせて熟成させ、味に悪影響のあるフーゼル油やガス臭などを取り除きます。その熟成する期間の違いにより、香りが落ち着き、味の深みもまた違ってきます。
また、熟成される際の保存容器を、タンクや樽、甕のどれを使用するかによってもさらに香りは大きく異なります。
中でもワインやブランデーを熟成させる際のオーク樽を使い熟成させた焼酎は、ウイスキーのような香りがして、フルーティーでふくよかな香りを楽しむことが出来ます。
2.香りを楽しむのにおすすめの焼酎の飲み方
焼酎の香りをさらに引き立たせるためにも、たくさんの飲み方で楽しめるのが焼酎の魅力でもあります。
銘柄の香りの特徴をそのままで楽しむことができるのは、ロック、ストレート、水割りがおすすめです。中でも香りを存分に引き出してくれる飲み方は、お湯割りが最適。
香りを楽しむためのおすすめの飲み方を紹介します。
2-1.お湯割り
なんといっても焼酎の香りと柔らかさを一番に感じられる飲み方は「お湯割り」です。
お湯割りは、温度によって香りが微妙に変化するので温度は特に大切です。一般的には最初のお湯は70度のものを準備し、焼酎を混ぜることで出来上がりが40度前後となることがベスト。最も豊かな香りと旨みを感じる事が出来ます。
作り方
①耐熱グラスや湯呑みなどに、70度くらいに冷ましたお湯を2/3ほど注ぎます。
②その後焼酎を好みの濃さまで注ぎます。
※お湯割りにすることで、いつもよりアルコールを感じるため、最初は薄めに作り味見をしながら足してください。
※お湯を最初に注ぎ次に焼酎を入れることにより対流で混ざっていくので、ステアせず、時間とともに混じり合っていく中での変化する香りもお楽しみください。
2-2.前割り焼酎のお燗
お湯割りとはまた違った香りを楽しめるのが前割り焼酎のお燗です。
好みの濃さに割り水した焼酎を最低でも24時間寝かせ前割り焼酎を作っておくことで、水と焼酎がなじみ、まろやかさが増し優しい香りに仕上がります。前割りした焼酎を、徳利または黒千代香のような伝統酒器に入れ、じわじわと弱火で温めることで、香り豊かな燗酒が楽しめます。
作り方
① 空の瓶やペットボトルなどに好みの割合で焼酎と水を混ぜ合わせ、最低1日、できれば2〜3日冷蔵庫に置いて、前割り焼酎を作る。
②徳利や黒千代香の中に作った前割り焼酎を入れ、徳利は鍋の中にお湯を入れ湯煎し人肌程度に温め、黒千代香はとろ火で温める。
※温めすぎると風味が飛んでしまうため、じっくりと温め、人肌程度(36~37度)が理想です。
まとめ
焼酎の香りについて詳しく解説していきました。
香りといっても千差万別あり、さまざまな要因によって変化します。
色々な焼酎を飲み比べし、自分好みの香りを探して楽しんでください。