泡盛とは?焼酎の一種、泡盛を作り方から古酒・歴史やカロリーまで解説!

沖縄県を代表するお酒、泡盛。その名前は広く知れわたっていますが、泡盛がどんなお酒で、どんな歴史をたどってきたかということは、あまり知られていないようです。

そこで、この記事では、泡盛の特徴や製法、歴史などをお伝えしていきます。ぜひ参考にしてください。

泡盛とは?

泡盛とは、おもに沖縄県を原産地とする焼酎の一種で、15世紀末には琉球(現在の沖縄県)で造られていたという、日本で最も歴史の古い焼酎です。

泡盛は主にインディカ米を原料とし、黒麹菌を用いた米麹によって発酵させ、もろみを単式蒸留器で蒸留して造られています。このような製法から、泡盛は酒税法上では「単式蒸留焼酎(乙類)」の一種に分類されています。

とはいえ、沖縄県の独自の文化のもとで長い間育まれてきた泡盛には、他の焼酎とは異なる点がいくつもあるのです。次項以降で詳しく見ていきましょう。

泡盛は焼酎の一種!

焼酎といえば芋焼酎や麦焼酎、米焼酎など、さまざまな焼酎が思い浮かびますが、泡盛も焼酎の一種に分類されるお酒です。

焼酎はその製法によって、「連続式蒸留焼酎(甲類)」と「単式蒸留焼酎(乙類)」、両者を混合した「混和焼酎」の大きく3種類に分けられます。

「連続式蒸留焼酎(甲類)」とは、連続的に蒸留操作をおこなう蒸留器で造られた焼酎のこと。アルコールの純度が高い、無味無臭の焼酎に仕上がるため、一般的に果実酒や酎ハイ、サワーなどのベースに使われます。

一方、「単式蒸留焼酎(乙類)」とは、原料となる穀類やイモ類などを発酵させ、一度だけ蒸留して造られた焼酎のこと。原料の違いから生まれる個性が、香りや味わいに顕著に現れる焼酎です。

焼酎の銘柄 複数

泡盛は焼酎乙類に分類される

泡盛は単式蒸留器で一度だけ蒸留して造られるため、酒税法上の区分では「単式蒸留焼酎(乙類)」に分類されています。

また、米を原料として造られることから、広い意味では米焼酎の一種とも言えます。

「本場泡盛」と「琉球泡盛」

泡盛には、「本場泡盛」や「琉球泡盛」という表示がされているものがあります。これは一体、何を意味するのでしょうか?

泡盛は沖縄県原産のお酒ではありますが、その製法さえ守れば、実は沖縄県以外の場所でも泡盛を造り、販売することができるのです。

しかし、泡盛は沖縄の人々が大切に守り続けてきたお酒であることを踏まえ、1983年に沖縄県で造られた泡盛だけに「本場泡盛」の表示が認められるようになりました。

その後、2004年には国税庁の地理的表示に関する基準を満たしていたことから、今度は「琉球泡盛」という名称が表示できるようになったのです。こうして、「本場泡盛」から「琉球泡盛」へと名称表示の切り替えが進み、現在では沖縄県のほとんどの酒造メーカーの泡盛に「琉球泡盛」という表示がなされています。

タイ米を原料に、黒麹菌を使い全麹仕込みしたのが泡盛

泡盛は米焼酎の一種とお伝えしましたが、米焼酎とは異なる点があります。

まずは原料。米焼酎が日本米(ジャポニカ米)を使用するのに対し、泡盛は主にタイ米などのインディカ米を使用しています。

次に、麹菌の種類が異なります。米焼酎は一般的に白麹菌と呼ばれる麹菌を使って麹を造りますが、泡盛の場合は黒麹菌と呼ばれる麹菌を使わなくてはなりません。

最後に、仕込み方の違いです。米焼酎は麹の発酵を二段階にわけておこなう「二次仕込み」と呼ばれる仕込み方をしますが、泡盛は原料の米を一度にすべて麹にして蒸留する「全麹仕込み」と呼ばれる仕込み方で造られます。

つまり、泡盛は主にタイ米を原料に、黒麹菌を使い全麹仕込みして造られている焼酎なのです。

泡盛の造り方

次は、泡盛の製造工程のおおまかな流れを見ていきましょう。

  1. 洗米・浸漬
    原料となる米を洗い、米に水分を含ませるために水に漬けおきます。
  2. 米蒸し・製麹
    米を蒸気で蒸します。蒸しあがった米を冷まし、適温に下がったところで黒麹菌を加えます。その後、「三角棚」と呼ばれる麹棚に移し、黒麹菌を米の奥まで浸透させます。
  3. 仕込み
    できあがった米麹と水、酵母菌をタンクに入れて仕込み、もろみを造ります。
  4. 蒸留
    仕込み終わったもろみを蒸留器で熱を加え、アルコール分だけを抽出します。
    アルコールがぬけたもろみは、一般的にもろみ酢の原料などに再利用されます。
  5. 濾過・貯蔵・瓶詰
    蒸留後の泡盛は濾過をおこない、甕などで貯蔵され、その後瓶詰されて出荷されます。

泡盛には古酒がある

泡盛は年月をかけて熟成させると、素晴らしい「古酒(クース)」へと育っていくお酒です。ウィスキーやブランデーも熟成年数が長い方が高級であるのと同じように、泡盛も長い年月が経った古酒ほど、珍重されて高額になります

泡盛の表示に関する規約では、「古酒」と表示できるのは全量を3年以上貯蔵した泡盛のみと定められています。また、「5年古酒」などと年数を表示する場合、全量が5年以上貯蔵されたものでなくてはなりません。

古酒の特徴

泡盛を甕や瓶に入れて熟成させることを「寝かせる」と表現しますが、泡盛は寝かせれば寝かせるほど、香りは芳醇に、口に含んだ時の舌触りはまろやかになっていきます。それは、長期熟成によって、泡盛に含まれる成分が香りや味わいをもたらす成分に変化するからなのです。つまり、泡盛は長い年月をかけ、成分を変化させていくことで、芳醇な香りと濃厚な旨味を作り出しているというわけですね。

泡盛の歴史

泡盛には沖縄県で600年以上もの長い歴史があると言われます。泡盛への理解を深めるためにも、その歴史を紐解いていきましょう。

どこから伝わった?

泡盛の起源については、はっきりと解明されていません。「15世紀にシャム王国として栄えていたタイから、タイ米などとともに酒造技術がもたらされた」という説や、「中国の福建省から伝わった」という説がありますが、いずれにしてもアジアから琉球へと酒造技術が伝わり、泡盛が生まれたという見方ができるでしょう。

泡盛が最初に文献に現れるのはいつ?

泡盛という名前が文字として初めて歴史に登場したのは、江戸時代に入ってからのこと。1671年に琉球王国(現在の沖縄県)から徳川家への献上品目録のなかに、「泡盛酒」と記されていたのが確認されています。

また、それよりも前に、泡盛は薩摩藩(現在の鹿児島県)藩主の島津氏に献上されていたと言われています。

泡盛は限られた人しか飲めなかった?

泡盛が琉球に伝わった15世紀当時、人々は自由に泡盛を造ることができました。

その後、18~19世紀に入ると、泡盛の製造を王府が管理するようになり、「首里の三箇」と呼ばれる赤田、崎山、鳥堀の地域に限定して造られるようになったのです。しかも、泡盛造りをすることが許されたのは、わずか40人の「焼酎職」という杜氏がいる酒造所のみでした。

泡盛造りの工程も、王府の徹底した管理下に置かれていました。泡盛の原料は王府から支給され、できあがった泡盛は王府に納入。こうして王府に集められた泡盛は大切に保管され、外国や薩摩藩の大事なお客様をもてなす時に供されたのです。その一方で、少し古酒を抜いて若い酒を注ぎ足す「仕次ぎ」という作業を繰り返しながら、100年を超えるような古酒も育てられていました。

その後、明治時代に入り、琉球王国が崩壊すると、王府の管理も解かれ、泡盛造りは民間にも広まっていったのです。

いつ頃、普及した?

泡盛が全国で初めてブームを迎えたのは明治20年代のこと。当時は泡盛が沖縄の輸出品のトップの座を占めていたのだそうです。そして、大正時代に入り世界恐慌が起こると、その影響を受けて泡盛ブームは失速します。

二度目の泡盛ブームは、昭和初期に訪れました。昭和8年には泡盛の県外出荷量の割合は35%にも達していたそうです。その当時は、泡盛のポスターが作られたり、「酒は泡盛」という曲を作ってレコードを出したりと、かなり積極的にプロモーションがおこなわれていました。それらが功を奏し、昭和10年から昭和14年の間で出荷量は2倍に増えたのだそうです

戦争で多くの古酒が失われた?

戦前は多くの酒造メーカーが古酒を造り、保管していましたが、そこに戦争が暗い影を落としました。太平洋戦争の沖縄戦で、貴重な古酒のほとんどが失われてしまったのです。人々が長い年月をかけ、「仕次ぎ」という作業を繰り返しながら大事に育て上げた古酒は、戦争の犠牲になってしまったのでした。

このような悲劇を踏まえ、戦後に再び100年古酒を育てようという動きが出はじめ、現在も大切に育てられています。

泡盛のカロリー

泡盛をはじめ、焼酎には糖質が含まれません。そのため、泡盛には糖質に由来するカロリーが含まれず、アルコール由来のカロリーのみが含まれます。ちなみに、アルコールのカロリーは1gあたり約7Kcalです。

泡盛は銘柄によってアルコール度数がまちまちなので、泡盛100ml のカロリーが一概に何Kcalとは言えませんが、例えばアルコール度が25度の場合、100mlで約175Kcalとなります。

ただし、このアルコール由来のカロリーは「エンプティカロリー」と呼ばれ、熱として分解されやすく、蓄積されにくいといわれています。

とは言っても、泡盛と一緒にカロリーの高い食事をとり過ぎたら、そのぶんは身体に蓄積されることになるので、体形が気になる方は注意する必要があるでしょう。

まとめ

泡盛の特徴や製法、歴史などをお伝えしました。

15世紀にアジアから伝わり、長い間守られ続けてきた泡盛の伝統。一度は戦争で光を失いかけるも、そこから見事に復活を遂げ、現在に至っています。このように、泡盛は知れば知るほど奥が深いお酒です。

ぜひ泡盛の知識を身に付け、楽しく充実した泡盛での晩酌タイムをお過ごしくださいね。

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