焼酎の中でも飲みやすく、焼酎初心者の方や女性にも人気なのが麦焼酎です。
そんな麦焼酎ですが、どんなお酒なのか知っていますか?麦焼酎は芋焼酎や米焼酎とどのような違いがあるのでしょうか?
今回は麦焼酎について詳しく解説していきます。
おすすめの麦焼酎についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
麦焼酎ってどんなお酒?
麦焼酎は大麦などの原料を発酵させ、もろみにし、それを蒸留した蒸留酒です。
まずは原料から詳しくみていきましょう。
1-1.麦焼酎の原料は「大麦」「麹」「水」
麦焼酎に使われている大麦
麦焼酎に使われている麦はだいたいが大麦です。ビールやウイスキー、麦茶、麦味噌、麦ご飯などにも使われており、日本人に馴染みの深い味わいです。
麦は二条大麦と六条大麦の2種に分類されますが、お酒に使われるのは二条大麦です。四国・中国・九州など西日本で多く栽培されています。
麦焼酎に使われている麹
麦焼酎に使われている麹は大きく分けて2種類あります。1つは麦麹、もう1つは米麹です。
大分の麦焼酎は麦麹+麦で大分焼酎と呼ばれており、長崎県の壱岐で造られるものは米麹+麦で壱岐焼酎と呼ばれています。
この麹選びを国産米か輸入米か、あるいは主原料と同じ大麦かを選択することにより、麦焼酎の味わいが大きく変化します。
麦焼酎に使われている水
原料である大麦と麹と同じくらい麦焼酎造りに欠かせないのが「水」です。
カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分がほどよく溶け込んでおり、やわらかな水が焼酎造りには欠かせないものとなります。
酒蔵は自然の中にあることが多く、その環境が生み出すまろやかでやわらかな日本独自の軟水は、焼酎造りに理想の水です。
1-2.麦焼酎の主な産地
麦焼酎は日本海側の九州北部で盛んに造られています。大分県や長崎県、伊豆諸島をはじめ、福岡県や宮崎県が主な産地です。長崎県壱岐島は”麦焼酎発祥の地”といわれています。
1-3.麦焼酎の特徴
麦を主原料とした麦焼酎は、焼酎の中でも圧倒的に飲みやすく、焼酎初心者の方や女性に人気があります。他の焼酎に比べると比較的リーズナブルな価格帯が多く、チャレンジしやすいのも魅力です。
軽やかであっさりとした味わいのものが多く、ロックや水割り以外にも、水割りやソーダ割り、ジュース割りなどにしても楽しめます。
1-4.軽やかでキレのある味わいが魅力
麦焼酎は軽やかで爽やかな麦の香りが立ち、飲み口も軽快です。ボディのあるタイプも芋焼酎などに比べると軽く、麦の重厚な香りと旨味があり、キレのある味わいが楽しめます。
また、麦独特の香ばしい香りと味わいもあり、後味スッキリとしてくれるのも嬉しい魅力です。
2.麦焼酎ができるまで
2-1.麦の厳選と精麦
麦焼酎の仕上がりに大きく影響してくるのが、原料の厳選です。焼酎に使われる大麦は二条大麦ですが、その中でも粒が大きく揃っており、でんぷんが豊富なものを厳選して使用します。
選ばれた大麦は精麦(せいばく)という工程に移ります。雑味のもとになる成分である穀皮などを綺麗に取り除き、麦を磨きあげていきます。そうすることでスッキリとした麦焼酎に仕上がります。
2-2.麹づくり
麦の他に2つ目の原材料である麹づくりも大切な工程の一つです。米、麦などの穀物に麹菌を繁殖させ、麹をつくります。
麹菌は、穀物に含まれるでんぷんを糖に変える力をもっており、その糖が酵母の働きによりアルコールに変えられることで焼酎のもろみが造られます。
2-3.仕込み
麹や大麦を酵母と合わせて発酵させる工程である仕込みを行います。
麹造りの過程で出来た麹に水と酵母を加え、一次仕込みを行います。5日間ほど発酵させ、一次もろみを作ります。
一次もろみに水と蒸した大麦を加え、1~2週間かけてさらに発酵させ、二次仕込みを進めます。二次仕込みをおえたもろみは、二次もろみと呼ばれます。
2-4.蒸留
仕込みで出来たもろみを蒸留機に移し、焼酎の原酒を取り出す蒸留。
仕込みの工程で出来た二次もろみを蒸留機に入れて加熱し、アルコールを含んでいる蒸気を冷却して麦焼酎の原酒を取り出します。
本格焼酎の蒸留方法は、原料の持ち味を程よくいかす単式蒸留によって蒸留されます。
単式蒸留のなかにも、伝統的な常圧蒸留法と、蒸留機内を減圧状態にして沸点を下げる現代的な減圧蒸留法があります。
2-5.貯蔵・熟成
蒸留したばかりの麦焼酎はまだまだ雑味もあり、味わいが荒々しく感じられます。味や香りを安定させるために、貯蔵して熟成させます。一定期間貯蔵することで、揮発性の成分が取り除かれバランスの良い香りの麦焼酎になります。
貯蔵に使われているのはホーローやステンレス製のタンクが一般的ですが、甕や樽なども使われており、色も琥珀色となりまた違った味わいの麦焼酎が出来上がります。
2-6.仕上げ
アルコール度数の調節を行う仕上げです。完成までの最後の工程となります。
貯蔵・熟成を終えた原酒に、割り水を加えたりしてアルコール度数を調節します。その後、瓶やパックに詰められ出荷されます。
3.麦焼酎の楽しみ方
ストレート
香りに癖がなくさらりとして飲みやすい麦焼酎は、まずはストレートでお楽しみください。麦の本来の香りと味わいがしっかりと感じられます。
常温はもちろん、冷凍庫で冷やして飲むこともおすすめ。香りは控えめで、さらに飲みやすくなります。
初めて焼酎を飲むという方にも、麦焼酎のストレートはおすすめしたい飲み方です。
オンザロック
麦焼酎はどんな温度でも楽しめるのが魅力の一つであり、大きな氷を入れて冷やして飲むロックも美味しくいただけます。
圧倒的に飲みやすいロックは、時間とともに氷がとけ、麦の香りと味わいの変化が楽しめます。
キンキンに早く冷やしたい場合には大きい氷ではなく、クラッシュアイスを使うのがおすすめです。
水割り
麦焼酎の本場である九州でもよく飲まれているのが水割りです。
麦焼酎と水を好きな割合でグラスに入れるだけで完成し、手軽に楽しめます。スッキリとしており、食事との相性は抜群。水で割ることでアルコール度数も低くなり、飲みやすくなります。
常温で作ることが一般的ですが、氷を入れたり事前に水や麦焼酎を冷やしておいたりしておくこともおすすめです。
お湯割り
本場九州で水割りと同じく飲まれているのがお湯割りです。
飲みやすく香りに癖がない麦焼酎は、お湯割りにもぴったり。湯気と共に麦の香ばしさと香りが一気に上がってきます。
お湯割りを作る時のポイントは、お湯を先に入れ、後から麦焼酎を入れること。温度差で自然と対流ができることで、均一に混ざり合います。
炭酸割り
ロックや水割りよりも更にさっぱりといただきたい時にぴったりなのが炭酸割り。
無糖の炭酸で割ると麦焼酎の甘さが引き立ち、スッキリとした味わいが楽しめます。加糖の炭酸で作ると更にごくごくと飲めてしまいます。
また、レモンなどの柑橘系を搾ったり、生姜や紫蘇、梅などを入れてもまた違った味わいが楽しめます。
4.麦焼酎のおすすめ銘柄
4-1.百年の孤独
厳選された大麦と手造りの麹を原料としている、黒木本店で造られた「百年の孤独」。
ウイスキーと同様に蒸留した焼酎をホワイトオークの樽で熟成させているため、薄い琥珀色で、まるでウイスキーを思わせるような香りがありながらも、ほのかな甘みと麦の香ばしさが口の中に広がります。
ぜひストレートやロックで、そのままの風味をご堪能ください。
(出典元:黒木本店)
4-2.大分むぎ焼酎 二階堂
原料は6代目による選びぬかれたこだわりの麦100%と、おいしい天然水を使用して製造されています。
凛としたすっきりとした味わいが特徴。焼酎が苦手な人でも比較的飲みやすい穏やかな味です。
ロックからスタートし、ビール割りやカルピス割りなど様々な飲み方で楽しめます。
(出典元:二階堂酒造)
4-3.いいちこ20度
「下町のナポレオン」という愛称で古くから親しまれてる、ロングセラー商品である「いいちこ」。みなさんがよく知るいいちこはアルコール度数25度ですが、少し低めの20度も存在します。
本番九州で親しまれているのは、いいちこ20度をストレートで飲むこと。飲みやすいため広く好まれています。
いいちこ20度は、うまみ重視の原酒の比率を多くしており、味わい深いところが特徴です。
(出典元:三和酒類株式会社)
4-4.本格焼酎 博多の華 むぎ
1980年、本場九州の久留米の地で誕生した「博多の華」。
清冽な水と良質な大麦を原料にし、伝統の技を駆使して生まれた、華やかな香りと麦のまろやかな旨みが特徴。
芳醇でスッキリとした味わいがあり、麦本来の持っているやわらかな香りとほのかにフルーティーな香りも感じられます。
割りものに適しており、水割りはもちろん、ソーダ割りにコーヒー割りとなんでも楽しめるのが博多の華の魅力です。
(出典元:オエノングループ)
4-5.中々
宮崎県「黒木本店」で造られた麦焼酎のスタンダード「中々」。
麦本来の軽快な香りとすっきりとした飲み口の中に長く残る甘い余韻が特徴。しっかりとした麦の味わいとコクがありながらも、やさしい香りでとても飲みやすく、初心者から焼酎通の方まで美味しいと思わせる焼酎です。
より華やかな香りになる水割りかロックで、ぜひお楽しみ下さい。
(出典元:黒木本店)
4-6.佐藤 麦
焼酎造りの名手が本気で挑んだ麦焼酎「佐藤 麦」。
圧倒的な高品質で、多くのファンを持つ芋焼酎の佐藤を生み出した”佐藤酒造”が造る麦焼酎。無ろ過製法により、旨味のもとである高級脂肪酸を豊富に含んでいます。
麦のポテンシャルを最大限に引き出した香ばしい香りと、ストレートな麦の旨味が口いっぱいに広がります。
ロックもおすすめですが、お湯割りにすると芳醇な麦の香りとやわらかな甘みがより一層引き立ちます。
(出典元:amazon)
4-7.兼八
初めてでもどこか懐かしい普遍的な味わいの「兼八」。
流行に左右されることなく普遍的な味わいを追求する”四ツ谷酒造”の代表銘柄です。
焼酎造りにおいて、扱いが難しいとされるはだか麦を使用し、一度蒸留する量や冷却時の温度を細かく調整することで、いつまでも飽きのこない奥深い味わいとなっています。
はだか麦の香りがストレートに鼻に抜け、麦チョコのような余韻が長く残る味わいが特徴。
おすすめはロックで、はだか麦のほのかな苦みが際立ちスッキリとした飲み口です。
(出典元:四ッ谷酒造)
4-8.むぎ焼酎 壱岐
長崎県壱岐市で、約500年もの歴史をもつ「麦焼酎 壱岐」。
麦焼酎は一般的に麦麹と麦が原料ですが、壱岐焼酎は米麹と麦が原料となっています。そのため、一般的な麦焼酎よりも米麹の甘みがあるのが特徴。ふっくらとした甘みと芳醇な香りが楽しめます。
米と麦の良いところを合わせているので、悪酔いしないのがうれしいポイントです。
(出典元:玄海酒造)
4-9.特蒸泰明(とくじょうたいめい)
完全手造りの飲み応えのある「特蒸 泰明」。
大分県では珍しい完全手造り焼酎の酒蔵、”藤居醸造”で造られた麦焼酎です。原料を木桶で蒸し、麹造りには室蓋を使用したりと、伝統的な焼酎造りを守り続けています。
麦の香ばしさとスモーキーさの香りと、飲み応え十分のガツンと来る旨味が特徴。
ベストはお湯割りで、香ばしい香りが引き立ち、割る事でじっくりと味わいやすくなります。
(出典元:藤居醸造)
まとめ
麦焼酎について詳しく解説していきました。
麦焼酎は他の本格焼酎に比べると、本当に癖がなく飲みやすいものばかりです。
たくさん種類があり、貯蔵する際のタンクや樽の種類によってもまた味わいや風味が変わりますので、自分に合った麦焼酎を探してみてください。